120万円を5年間だけ非課税で運用できるNISA制度。
税金がかからないってことはなんとなくわかる。
でも、細かいとこはよくわからない・・・
そんな方が多いのではないでしょうか?
- 非課税期間の5年間ってどういうこと?
- 買った株が値上がりして120万円超えたらどうなるの?
- 相続時の注意は?
そんな疑問を持つ方はこの記事で解決できます。
NISAの基礎
NISAの基礎についておさらいしておきましょう。
NISAは購入した株式について、売却益が出ても課税されない制度です。
たとえば、
- 株を20万円で購入
- 値上がりして30万円で売却できた
上記の場合、通常の証券口座なら30万円-20万円=10万円が利益とみなされ、課税されます。
約20%かかるので、10万円×20%=2万円の税金を払う必要があります。
結果自分の手元に残る金額は8万円です。
一方NISAを活用した場合には税金がかからないので、売却益の10万円全額が手元に残ります。
そしてNISAを活用するには上限が設けられており、1年間で120万円、非課税で運用できる期間は5年間と定められています。
ここで疑問が生じてくるのです。
1年間で120万円非課税ってどういうこと?買った株が120万円超えたら税金かかるの?
それに非課税期間5年って何?5年経ったらどうなるの?
親からの相続があるんだけど、NISAもやってたみたい・・・
税金かかったりしない?
教えましょう。
NISAの運用期間5年の定義を解説
NISAの運用期間の5年は購入した年を1年目として、5年目の年末まで非課税で運用することが出来ます。
株式を購入した日から5年間じゃないんだね。
株式を購入した日から5年間ではありません。
期間が5年と言われると株式等を購入してから5年間非課税で運用できるかのように思ってしまいますが、そうではありません。
非課税期間5年は株式を購入した年を1年目とカウントして5年後の年末まで非課税で運用することが出来ます。
2019年の非課税枠は2023年まで、2020年の非課税枠は2024年まで、といった具合です。
NISA制度の開始は2014年からなので、NISA制度を当初から利用している人はもう非課税期間の終了を体験していることになります。
2019年の1月~12月に購入した株式は2023年の12月末まで非課税で保持できるんだね。
2023年12月末まで非課税で運用できるのは2019年の1月~12月に購入した分です。
NISAの運用期間5年を過ぎた場合は以下の3つの選択肢を摂ることが出来ます。
- 売却する
- 通常の証券口座に移して保持し続ける
- NISA口座で保持し続ける
売却する
株を売却する場合は利益が出ていようと出ていなかろうと売却して終了です。
当然NISAで運用していたので、売却益に課税されることはありません。
しかし課税もされませんが、仮に損失が出ていた場合、損益通算も出来ません。
NISA制度は「得をしようが損をしようが税金に一切の関与をしない」ということです。
デメリットといえるものでもありませんが、注意してください。
通常の口座に移して保持し続ける
通常の口座に移して保持し続けることは可能です。
この場合、NISA口座から通常の口座に移った時の価格で購入したとみなされます。
例えば100万で購入して130万で通常の口座に移した場合は、130万円で購入したとみなされます。
なので、その後さらに価格が上昇して140万で売却できた場合でも、課税されるのは10万円(140万-130万)に対してだけです。
ただし、逆に口座に移した時に価格が80万円まで下落していた場合、その後価格が100万まで戻った状態で売却しても20万円の売却益が出たとみなされて課税されます。
通常の口座に移動した段階での時価が税金の計算に使われるということです。
NISA口座で保持し続ける(ロールオーバー)
ロールオーバーすることでNISA口座で保持し続ける方法があります。
ロールオーバーとは非課税期間が終了した翌年の非課税枠を使用することです。
2014年にNISA枠内で購入した株式は2018年末に非課税期間が終了してしまいますが、その翌年の2019年の非課税枠を使用することで、非課税のまま繰り越すことが出来ます。
非課税のまま持ち続けることが出来るんだね!
NISA制度が続く2023年(2018年に購入した分)まで期間限定で可能です。
ただし、ロールオーバーはその年の非課税枠を消費します。
ロールオーバーをした場合はその時価分だけ購入限度額が減ってしまうので理解しておきましょう。
2015年のNISA枠で買った50万円分ロールオーバーした場合は?
50万円というのは2015年時点で購入した金額でしょうか?
2020年にロールオーバーするときの価格でしょうか。
購入した時の金額だよ。
それでは正しく計算できません。ロールオーバーはロールオーバーする時の価格で行います。
なるほど~。じゃあ今はまだわからないね。
そういうことですね。
仮にロールオーバーする時の価格が70万円になっていると仮定した場合ですが、2020年の非課税枠が70万円減って残り50万円分しか新規で購入できなくなります。
また、ロールオーバーに上限はありません。
仮に購入した株価が150万になっていようと、300万になっていようと全額ロールオーバー出来るので安心してください。
ただし、その年の非課税枠は全額消費してしまいます。
NISAの運用期間5年を過ぎた場合、自分に合った選択をしましょう。
- 売却する
- 通常の証券口座に移して保持し続ける
- NISA口座で保持し続ける
価格が上昇して120万円を超えても非課税は続く
買った株が120万円超えたら税金かかるの?
引き続き非課税で運用できます。
NISAで運用中に120万円で購入した株が150万円になった場合でも、これに課税されることはありません。
NISA制度はあくまでも1年間の購入金額の上限が120万円以内であるということです。
なので、NISA口座で一度株を購入できてしまえば、税金がかかることはありません。
損益通算できない点に注意
NISA枠で買った株が・・・暴落した・・・。
残念ですが、NISAは損益通算できませんよ。
利益が課税されない一方で、損失が出たときに損益通算も出来ない点には注意する必要があります。
損益通算というのは銘柄Aで+20万円、銘柄Bで-20万円になっているとき、損失と利益を合算できることです。
普通であれば銘柄Aについては4万円の税金がかかるところですが、銘柄Bで損失が出ているので、利益が0円と計算されて税金がかからなくなります。
詳しくはそのうち別記事で解説するかもしれません。
相続時にも急に課税されることはない
NISAの相続ってどうなるの?
急に課税されたりしない?
NISAの相続はできませんが、課税されることはありません。
相続時のNISA口座の取り扱いについて、結論を言ってしまえば、相続時点でNISA口座の期限が切れるようなイメージです。
相続した段階で売却してしまえば非課税です。
しかし、NISA口座として引き続き非課税で運用することが出来ません。
なので、非課税で運用できる期間が過ぎたとき同様に
- そのまま売却する
- 通常の口座に移して保持し続ける
のどちらかを選択することが出来ます。
他人名義なので、ロールオーバーはできないようです。
急に今までの利益に課税されるようなことはないので安心してください。
まとめ:NISA制度を深く理解して後悔のない運用を
NISA制度は利益に対いて課税されない優遇された制度ですが、一方で損益通算が出来ないなど、特有の注意点もあります。
この記事をまとめてしまえば、
- 非課税期間5年は購入した年の5年後の年末までを指す
- 購入さえしてしまえば非課税で運用できる
- 相続時に課税されることはない
これだけです。
しかし、正しいルールを知っていれば将来を見据えた動きが出来ます。
NISA制度を正しく理解して後悔のない運用を行いましょう。
NISAと積み立てNISAの違いについて詳しく解説した記事はこちら。
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